カジュアルな着物の格について教えてください

格式の高い場所だけではなく、ちょっとしたお出かけやショッピングなど普段着として着物を着る機会を増やしたい方は、以下に紹介する着物を積極的に活用するとよいでしょう。格式の高い着物の種類から順を追って紹介します。

【フォーマルにもカジュアルにも使える江戸小紋】
前回「略礼装」の着物として紹介した江戸小紋は、カジュアルな着物としても着ることができます。江戸小紋を気楽に楽しみたい場合は、紋を付けずに遊び心のあるものを着るとよいでしょう。四季折々の美しさをあらわした「雪月花(せつげっか)」や、富士山と茄子を描いた「初夢」などユーモア溢れる柄は、遠目には無地に見えるため、さり気ない個性を演出するのに重宝します。
江戸小紋はカジュアルにも使えますが、七五三や入学式に着て行く場合には色合いや柄などを選び分けて品よく装いましょう。
【素朴な風合いと色柄が魅力的な紬(つむぎ)の着物】
織りの着物の代表格とも称される紬は、もともと出荷のできない質の劣る繭を使って織られた日常着でした。かつては、軽快に着こなすために袖丈を短くすることもありましたが、幅広く活用するのであれば長さを変えずに仕立てるほうがよいでしょう。現代の紬は、カジュアルなパーティーやレストランでの会食などにも着て行ける便利な着物です。
【江戸時代から庶民に普及した木綿の着物】
着心地のよさと手頃な値段に定評のある木綿の着物は、素朴な着物らしく素足に履いた下駄や、ラフな印象の半幅帯を合わせることができます。木綿の着物を自宅で部屋着として着る場合は、裏地をつけない単衣(ひとえ)仕立てにすると日々のお手入れがとても楽になります。木綿の着物は、普段着の感覚で着られるうえ、入手もしやすいので着物の初心者におすすめです。

他にも、織りと染めの中間の着物である「御召(おめし)」や、羊毛を原料として織られた「ウール」の着物もカジュアルな装いとして活用できる着物です。自分の好みに合わせ様々なものを着比べて、お気に入りの一着を探すのも着物の魅力を十分に堪能できる楽しみ方です。