『伊勢型紙を訪ねて』
先日は貴重なご縁をいただき、三重県鈴鹿市
白子町まで伊勢型紙の職人さんと型紙問屋さんを
訪ねました。
三重県には5つの伝統工芸があり、
「伊勢型紙」「伊賀組紐」「伊賀焼」「鈴鹿墨」「万古焼」
が指定されています。そのうち、
「伊勢型紙」と「鈴鹿墨」は鈴鹿市にあります。
鈴鹿市は鈴鹿サーキットでも有名なところですね。
今回は初めて、直に伊勢型紙の制作工程を拝見しました。
伊勢型紙の歴史は大変に古く今から約1200年前
室町応仁の乱で京都から落ち延びた人の中に
型紙職人がおり、その方たちが伝えてきたという説が
有力になっています。江戸時代になって、紀州徳川家の飛び地領と
なったため、紀州藩の庇護を受け、その販路を広げることとなりました。
伊勢型紙は大きく分けて四つの技法があります。
「突彫」「道具彫」「錐彫」「縞彫」です。
南部芳松、六谷梅軒、中村勇二郎などの人間国宝でも有名ですね。
今回は「突彫」と「縞彫」を拝見させていただきました。
静かな空間にスゥーっと通る彫刻刀の音がなんとも言えず、
目をよく凝らさないと見えない型紙の精緻さに魅了されました。
写真1枚目は、1枚に27本筋が入った万筋の型紙です。
伊勢型紙の職人さんは、型を彫る彫刻刀も手作りで、その道具を大事に育てます。
写真は、砥石で彫刻刀を研いでいる写真。一番手前、左にある砥石は長年にわたり
研いできて、砥石が細くなったもの。かれこれ50年以上使用しているとのことです。
職人さんのもとを訪れたあとは、江戸時代末期に建てられた白子屈指の型紙問屋、
寺尾家を改装した伊勢型紙資料館、鈴鹿市伝統産業会館などを訪れ、より伊勢型紙の知識を
深めました。
昼食は、地元の方のお勧めの乾物問屋さんが経営するうどん店へ。
「めんくいくん」
じゃこ天うどんをいただきました。
乾物問屋さんなだけあって、出汁が濃厚でおいしかったです。
午後は伊勢型紙の取り組みについて。当然、着物としての重要は年々
減っているので、インテリアなど様々な道を模索されていました。
ただ伊勢型紙だけではなく、他の伝統工芸にも言えることですが
「伝産法」の縛りの中で事業を行っているといつまでたっても、
技術の発展も現代にあったモノ作りも難しく、残す部分と進化していく部分を
分けて考えていかないと厳しいですね。我々、着付け業界にも言えることですが。
着付は古典着付けと現代着付けがごちゃごちゃになってしまい、
かたくなに旧来の習慣を守る派となんでも着崩して自由と称する無秩序派の両極に
なってしまっているところが非常に残念なところです。
青華きもの学院の使命は古典と現代を両立し、身体に優しく着崩れしにく正統派の着付けの
追求と普及に努めていきます。
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